旧約聖書に悪人として描かれる、フェニキア人のイスラエル王妃イゼベルについて紹介します
イゼベルはどんな人?
イゼベルはフェニキア人で、父はシドン王エドバアルです
イゼベルは第7代イスラエル王アハブに嫁いで、イスラエル王妃となります
イゼベルはカナン地域(地中海と死海・ヨルダン川付近の古名)で信仰されていた嵐と慈雨の神バアルを崇拝するように強要しました
シドン王との間には3人の子がおり、第8代イスラエル王アズハヤ、第9代イスラエル王ヨラム、第7代ユダ王アルタヤがいます
イゼベルは、宗教で対立し最後は無惨な死を遂げます
悪女と言われた理由
イゼベルが悪女とされた理由は宗教観の違いがあったと思われます
イスラエルでは、ユダヤ教が信仰されユダヤ教の教えは一神教です
そこにイゼベルが信仰していたバアル神の崇拝を強要したため、ユダヤ教と相容れない部分があったと考えられます
また、ユダヤ教においては偶像崇拝を禁じているのに対しバアル神は偶像崇拝でこの点においても考え方が合わなかったのだと思います
旧約聖書などでは悪魔として描かれることもあるようです
イゼベルのバアル神崇拝の方法
イゼベルはアハブ王をそそのかしてバアル神信仰を許可させたとされています
またバアル神の崇拝者を増やすために巧に男性を誘惑したとされています
このこととの関連は定かではありませんが、「ヨハネの黙示録」の中の「大淫婦バビロン」においてイゼベルの名が出てくるようです
さらに、ユダヤ教の預言者たちを迫害したとも言われています
このため、旧約聖書において悪人として描かれているのだと考えられます
イゼベルの最期
イゼベルは、アハブ王の息子たちの治世においてもバアル信仰を広めようとしました
第9大王ヨラムの部下イエフは「アハブ家を滅ぼし、イゼベルによる偶像崇拝と魔術をやめさせよ」という神のお告げを受けたことからクーデターを起こします
イエフはヨラム王を殺害し、次いでイゼベルを追い詰めます
この時イゼベルは厚化粧をしてイエフに対峙したと言われており
これが現在の「厚化粧の悪女(painted Jezebel)」の語源になったと言われています
イゼベルはイエフの命により窓から突き落とされ、犬に食いちぎられ死を遂げたとされています
イゼベルの子どもたちのその後
第8代アズハヤは、即位後2年で病没しました
第9代ヨラムは、アズハヤに男子がいなかったので、王に即位し約10年間在位しましたが、前述の通り部下のイエフのクーデータにより殺害されてしまいます
娘のアルタヤは第5代ユダ王ヨラムに嫁ぎます
第9代イスラエル王のヨラムと同じ名前なので混乱しますが、別人です
アルタヤとヨラムの間の子アズハヤが第6代ユダ王になりますが、アズハヤはイスラエル王ヨラムを見舞うために訪れていた際に、イエフのクーデターに巻き込まれ、その傷が元でなくなります
アルタヤはアズハヤの跡をつぎユダ王国で初の女王となります
アルタヤの母同様多神教を崇拝したため、反感を買った他、暴政を強いたため最後は処刑されました
ユダ王の末裔には第1回バビロン捕囚の原因となったエホヤキンがいますが、アルタヤの12代後の王になります
イゼベルのまとめ
イゼベルはフェニキア人の間で信仰されていたバアル神を嫁いだイスラエルで広めようとしましたが、ユダヤ教の教えとは相容れず、強引な信仰の強要は反発を招き、悪人と言われる原因になりました
イゼベルの子どもたちは短命や非業の死を遂げています
現在厚化粧の悪魔の語源となったpainted Jezebelはとても綺麗な蝶の名称にもなっています
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